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歴史と街

マンションの予定地に建った、海の女神の廟2006年に生まれた、横浜媽祖廟の物語

関帝廟と並ぶ、横浜中華街のもう一つの廟、横濱媽祖廟(まそびょう)。できたのは2006年と、街の中ではとても新しい建物です。

媽祖は、海を守る女神

媽祖は、中国の沿岸部や台湾で広く信仰されている女神です。宋の時代、いまから約1000年前に福建省にいた、林黙娘という娘がもとになったと伝えられています。

16歳で不思議な力を得て、海の事故や災いから人々を救ったといわれ、のちに「天后」の位を与えられました。

航海や漁業の守り神として知られますが、子宝や安産、縁結び、学問のご利益もあるとされています。

清国の領事館があった場所

媽祖廟が建つのは、山下町公園のとなりです。このあたりには、1883年(明治16年)に清国の領事館が移ってきました。

辛亥革命のあとは中華民国の総領事館になりましたが、1923年の関東大震災で倒壊しています。かつて媽祖を祀っていたといわれる、ゆかりのある場所です。

マンション計画から生まれた廟

2003年の秋、この土地にマンションを建てる計画が発表されました。

中華街の店主たちでつくる横浜中華街発展会協同組合は、街づくりの面からこの計画に反対します。そして、自分たちで土地を買い取り、媽祖廟を建てることを提案しました。話し合いの結果、土地を買い取ることで合意し、廟の建設が決まりました。

  • 1883清国の領事館がこの地へ移る
  • 1923関東大震災で領事館が倒壊
  • 2003マンション建設計画が発表される
  • 20063月17日、横濱媽祖廟が開廟

総工費は、土地代を含めて18億円。中国の伝統的な廟の設計を、現代の技術で建てた鉄筋コンクリート造の2階建てです。本殿の神像は、中国の福建省でつくられました。鐘楼と鼓楼には、建設のときに地中から出てきた明治・大正のレンガが使われています。

五つの香炉と、お参りのしかた

媽祖廟では、五つの香炉に順番に線香を供えます。それぞれの香炉に、祀られている神さまとご利益があります。

  • 1玉皇上帝 ― 国の平和
  • 2媽祖 ― 航海の安全
  • 3臨水夫人・註生娘娘 ― 安産・子宝
  • 4文昌帝君・月下老人 ― 学問・縁結び
  • 5福徳正神 ― 金運・財産の安全

媽祖の誕生日と、燈籠のお祭り

旧暦の3月23日は媽祖の誕生日とされ、この日に「媽祖誕」の行事が行われます。西暦の日付は年によって変わり、4月中旬から5月中旬のあいだになります。

横濱媽祖廟の公式サイトでは、年間の行事として、開廟を記念して春分の日に行う「媽祖祭」、7月7日の「良縁祈願」、大晦日のカウントダウン、春節が紹介されています。旧暦9月9日は媽祖が天に昇った日とされ、2026年は10月18日に神事が行われました(横浜中華街の年中行事カレンダー)。

2026年の春節では、締めくくりの「元宵節燈籠祭」も媽祖廟で開かれました。願いを託した燈籠が並ぶ、春節の最終日の行事です。

次に行ったら 関帝廟からは歩いてすぐです。幕末の祠から始まった関帝廟と、2006年にできた媽祖廟。新旧二つの廟を見比べてみてください。